【掌篇】海鬼燈賣り
ろくに本を讀まぬ編輯者との話し合ひが決裂し、心を鎭めんと足の向くまゝ歩きだした。いつしか神保町から不忍池を渡り、氣づくと淺草寺まで來てゐた。境内が妙に姦しい。あゝ、今日は四萬六千日であつたか。葦簀の屋根が連なり五彩の風鈴が搖れる夏の風情に鬱屈をしばし忘れた……
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ろくに本を讀まぬ編輯者との話し合ひが決裂し、心を鎭めんと足の向くまゝ歩きだした。いつしか神保町から不忍池を渡り、氣づくと淺草寺まで來てゐた。境内が妙に姦しい。あゝ、今日は四萬六千日であつたか。葦簀の屋根が連なり五彩の風鈴が搖れる夏の風情に鬱屈をしばし忘れた……
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東京メトロのメトロ文学館の詩コンテストでまた賞を頂きました。
Mont Blanc Sceniumのボールペンと商品券です。
拙作を含む詩のポスターは、日本橋駅(東京メトロ銀座線、東西線、浅草線)で7月18~27日のあいだ展示されます。手袋の物語、だと思います。癒し系です。
ちなみにこちらは以前もらった参加賞。こちらにもボールペンがついています。Sceniumはこちらの200倍以上の値段のようです。
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【解説】
日もすっかり暮れてから、不忍池の弁天島から伸びる道を歩く。道沿いの桜は確かに咲いているはずだが、街灯もなく、あまりに暗いので咲いているかさえ定かではない。想像の中だけで咲いていることよ。
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【解説】井の頭池。ボートに乗ってビールを飲んでいた花見客。酔いが過ぎたか転覆した。大事ではないようだったが、例によって助けようとする人はほとんどいない。これが今どきの東京の人情としたら哀しいことだ。
ちなみにおせっかいな私は、反対側のボート乗り場まで歩いていちおう伝えた。だが、すでに連絡はきていたので、サマリアびともまるでいないわけではないと思いなおしたのである。
あまり関係ないが、ランボーの『酔いどれ船』("Le Bateau ivre")を連想した。
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【解説】
オフ会の翌日、浴室で、桜の木の下に敷いたブルーシートにお湯をかけて洗っていたら、土の香が立ち上った。
ああ、楽しい宴であったことだなあ。
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疲れそうな大冊を避け、しばらく軽い読み物ばかり読んでいたので、図書館の地下への階段があることは知っていたが足は向かなかった。だがある日ふと矢鱈にボルヘスが読みたくなり、司書に訊くと、やはり地下書庫にあるという。ゆうに五分以上待たされそうな気配を察して、私は地下に自ら赴いた……
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「 私はロボット。
この三十二年間、工場でひたすら■を△に置き換える仕事を続けてきた。毎日十八時間働き三回エネルギーバーを摂取する、同じことの繰り返しだ。ロボットだからこそ、人間なら発狂しかねない単調な日々に耐えられるのだ。
二週間前、左手の肘を作業機械にぶつけた。そこから赤い錆が出てきた……」
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