【怖】顔認識機能の怪
最近のデジカメには、たいてい「顔認識機能」というものがある。呼び方はメーカーにより違うが、要するに写真中の人物の顔だけを、カメラ本体や付属するソフトが検出して、そこにフォーカスできるのだ。撮影するときも顔がきれいに写るようにいろいろと自動で調整してくれるらしい。
それは友人四人とキャンプ場で撮った写真だった。晴れ渡る夏の空をバックに、切り立った渓谷にかかる蔦の吊り橋。その下の川辺には大きな蛇紋石がひしめく絶景だ。我ながら構図の良さも冴えているが、買い換えたばかりのデジカメの画質は、パソコンの二〇インチモニタの大画面で拡大してみても満足のいく物だった。天気の良さで光量が十分だったこともあるが、眩しい陽光を跳ね返す木々の葉から、勢いのある渓流の細波、河原の小石のひとつひとつに至るまで鮮明で、細部の描写も申し分ない。
新しもの好きの性で、およそ「新機能」と名がつくものには惹かれずにはおれない。私はさっそくアルバム ソフトの顔認識機能を試してみた。だがソフトのボタンを押しても、顔を示すはずの枠内にそれらしきものはない。何度クリックしても、そこに並んで写っている四人の顔ではなく、周囲の岩を示す。
なにこれ ぜんぜん使えないね
後ろから覗きこんでいた倫香だ。まったく、ここまで使えないとは。私は期待していた新機能に裏切られた気持ちであった。
そうだな……いや、まて
岩の表面に無数に浮き出しているのは、まさしく人面であった。
(800字/1・1版)
某コンテストに出した怪談です。ご感想をどうぞ。
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